酔歌 - 2 / ****'04/小野 一縷
 
ら零れ渡る セイレンの美鳴に 
鼓膜が血の涙を流して 歓喜の鳴動 悶えている 
涙が瞳孔の黒い純度を 一層 不運な明星のように輝かせる


おお
暗黒の その奥に 
似非哲学者・似非宗教家・似非表現者が嫌悪する 
薬学的に導き出された真理がある 
呪術師は太古から 化学的啓蒙を智慧としていた
これは宗教以前 神秘主義的思惟に結ばれる
音楽家が画家が詩人が その事実を明らかにしてきた
そして この詩も 
 
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ああ
夜は月に煌々と蒼く照らされ
ワインは赤々と熟れて甘くなる
夢想は滾々と瞼の裏に湧き上がる
今宵こそ 祝福すべき 約束された夜


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