酔歌 - 2 / ****'04/小野 一縷
明と冴え 快活に冷気を帯びてゆく
貫かれた 胸は冷血 藍色に走る 静脈
おお
今 「これ」こそ 快楽と呼ぶに恥じない
満ちてゆけ もっと 脳天から爪先へ
踵から延髄へ 血管を 往来する 天使が注いだ 苦い華汁
さあ
甘く熟して 柔和な倦みに抱かれろ
己の怠惰に 猫のように賢く甘えろ
すっかり自白していいんだ 隠蔽された 恥じらいと欲情を
涙を流して 白痴のように 無垢になれ
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おお
軽金属の天使 彼は詩人
羽ばたき その金切り声の羽音
罌粟の鱗粉 雪の揺らぎと儚さを真似て
有害な快楽が 人畜無害な詩句を陶酔させる
彼の詩句
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