爆発/たもつ
に動物を愛するなどといった感傷的な様子はない
あくまで事務的にその動作は進められる
バクはハツの差し出すパンの耳を食べるが
バクの正面の姿は動物図鑑では確認できなかったので
食べるときも横向きである
正面のないバクと輪郭のぼやけたハツ
ハツの餌を与える動作は動作として見て取れるが
バクの餌を食べる行為は具体的ではない
家がある、ということだけがあるように
食べる、ということだけがある
用事を済ませ喫茶店を出る
先ほどの店員が「準備中」と書かれた札をノブにかける
あの店員は山本さんだと思う
僕は歩き出す
もう一度山本さんだと思う
行くあて
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