魂風船/敬語
、返事がくるとは思ってはいなかったが、少しくらいは反応を期待していた。
しかし、反応もない。
期待を裏切られた僕は少し躍起になって、もう一度声を掛けてみた。
ただし今度はもっと大きな声で、さらに大きく手を振りながら。
「おーい、おーい。僕の魂よ。君はどこに行くというのだ?」
すると魂風船は僕の声が届いたのか、ふわりふわりと降下を始め、僕の頭より少し高い位置で停止した。
先程の失敗の後だ。勿論、期待していた訳ではない。
だからこそ、この行動にとても驚き、驚き過ぎて再び呆然と眺めるばかりであった。
そんな状況がどれくらい続いたのだろう。
いい加減に痺れを切らせ
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