我らが日々を荒涼とするのか、老兵よ!/真島正人
 
もあった

血液の中にも
声が潜んでいた

16歳の少女の胸に
耳を当てた
18の夜に

私は知り尽くしていた
細胞のこと
破裂のこと
愛のこと
器官のこと

それらすべてが
亀裂によって交わり

性の行為は
「崇高」に支配された



裁断されたのは
夜の街燈

私が目指したものは
干からびた海だった

照らされた光が
良いものであるのか
知る術もないが

やがて微笑んできた

分析と統計が書きこまれた
薄い書物が



喫茶店の一室だった

そこが私の部屋だった

逃げ込むことしか出来ないうちに
私は
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