大蛇と影を重ねて/ポッポ
 
は曇った窓のほうを見ながら、なにやら脅えたような様子でいる。僕は、ヒレンクターが外の景色が見えない曇った窓の向こうから、いったいなにを感じ取っているのかが気になった。――すべてに対して意欲が皆無のような最近の僕だが、身近にある手ごろな不可解にいくらかの好奇心が湧いている……。
 窓を確認すると、外から鍵がかかっていたので開かない。部屋の外に窓の鍵が取りつけてあるなんて不思議だな、と思っていたそのとき、ヒレンクターが例によって苦しみだした。それも、これまでを上まわる激しさで――一分、二分、まるで内臓が喉に押しあがっているかのように苦しみ、大量の胃液を吐きだした。そこには胃液だけではなく、鍵らしい物
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