ふりだしに戻るばかりの小さなさいころゲーム/ホロウ・シカエルボク
 
られたみたいに目の当たりにしてしまう
せめて風に乗ることが出来たらこのからっぽにも価値は生まれるだろうか
遥か昔腕をなくしてでも空に行きたいと考えた種族たちは
土の上でそんなことを考えてしまったのかもしれないな、なんて
それじゃあ進化はすっかり後ろを向いたところから始まっちまうみたいだ
堤防の上にとまって
こちらをじっと見ている鳩に気づいた
そいつが餌を欲しがっているわけじゃないのは
目つきを見ればすぐに判った
俺たちはしばし睨みあった
まるで間接的な敵同士みたいな気分で
もう一羽の鳩が割り込もうとやってきたが
俺たちの顔を交互に見比べてすぐに飛び去
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