ふりだしに戻るばかりの小さなさいころゲーム/ホロウ・シカエルボク
 
ちるインターミッション
いまひとつ釈然としないわずかな涙で目の中の砂はいつの間にか流れた
風の音に何も混ざらないのは
堤防近くのガソリンスタンドが休んでいるせいだ
アリサの詩を書いたときにはこの川の流れを思い浮かべていた
鴨と亀といくつかの魚が
躍起になって生物を主張する流れ
時折跳び上がる魚たちの腰つきはミック・ジャガーのダンスによく似ている
河原に降りる階段の途中に腰をおろして目を閉じたら
そこにはすでに春の温度があった
強い風は見事なまでに俺の体内を吹き抜けてゆき
そのせいで俺は可愛くもないのにからっぽな自分自身を
出来の悪い答案を突き付けられ
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