ふりだしに戻るばかりの小さなさいころゲーム/ホロウ・シカエルボク
のところ限られた一日に過ぎないのに
跳び込んだ砂にイラつきながらどのくらいを水に流すのだろう
交通公園のゴーカートに小さな子どもと乗る中年の男
そいつの目玉はまるで生まれたての猫のようなよどみをたたえて…
ひどい咳のようなエンジンはずるずると視界の端へ流れた
それで俺はまた水夫たちのことをひととき思い出す、たとえそれが
ひと息ついたあとにはもうなくなってしまうものだとしても
くま川は干潮の時間帯で
なにもかもやりつくして干上がってしまったみたいに見える
その堤防沿いを俺はずっと歩いた
意味のない晴天、意味のないリズム
漆喰の壁みたいにぽろぽろと崩れ落ちる
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