ヒ、リ/新宮栞
 
ょ。どうやって言い訳しようか想像するでしょ。想像してるのよ、実際、恋人も。変態じゃないわ。普通よ。
想像したのなら、それはあり得ることよ。でも、そうなったのなら、それが一番幸せだったのよ、選択した人にとっては。
選択した人にとっては。それは、悪意じゃないわ。
だから現実は残酷なのよ。言い訳しなかったでしょ、恋人は。」

「想像したことない?五年後か十年後か、もっと先でもいいけど、未来の自分が幸せになってて、どうしようもなく温かく笑ってるところ。どこかで見た事のある絵みたいな、ステレオタイプな雰囲気の何不自由ない暮らしを、暮らし続けてるところ。細かいディテールが、すべて既存の想像力でなりた
[次のページ]
戻る   Point(6)