ヒ、リ/新宮栞
 
りたってる未来。十年前の最先端の暮らしを、十年後にしてるなんて、有り得ないことだと思ってても、自分の幸せのイメージはその有り得なさを根拠にしちゃってるっていう、事実、想像したことない?」


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戦争の始まりを想像するとアイツとあたしはなんか興奮して、すごくいい雰囲気になったりしたから今日はやっちゃうのかもと思ったけど、そんなことできない。ソファを窓の真ん前に動かして、二人で横に並んで座って手を繋いで、ただ見てた。

「温度ってどう思う?」
「どうっていうのは、感覚として必要かってこと?」
「感覚っていうか、生きるのに必要かっていうことなんだけど」
「生きるのには、必要だ
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