マロニエ通りを歩いた頃/瑠王
 

学食の眼鏡にいさんはよくそれを聴きにきた
夕暮れには必ずタングが太鼓を叩いた
誰かはカリンバを
誰かはビリンバウを
そして誰かはアトリエの椅子を叩いた
そうやって暮れるまで、僕らは何度も何度も踊った

やがてマロニエ通りに赤よりももっと紅がくると、
学舎もまた色を変えた

いつも逃げ回っていた葉っぱ売りのロッキーは、
自宅の玄関で父親が正座をして待っていた
賭博士だった陶芸家は一枚の絵を残して山に帰ってしまった
お菓子好きの宝石商は波を越えるために、
大好きだった漫画を全部売って10kg痩せたらしい
苛めから立ち上がったラッパーは丘の上で歯をみがいている
大地に
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