さようなら、過ぎ去った日々よ/ホロウ・シカエルボク
 
暮らしは快適か
だけどそんなことでいったいどうする…?
春のある一日の暮方には発狂の予兆があるが
おれ以外にそのことを知っているものは誰も居ない
その春のある一日の暮方のことを知っているものは
もしもおれが蒲公英の種になったら
この世で一番不幸な種になるだろう
おれはきっと空の上で風に流れながら
こんなことにはたして何の意味があるのだろうと考えるだろう
しかもそれはだからといって
なにとも変換出来るようなたぐいの事態ではないのだ
(例えば名前のつけられないある種の状態によく似て…)
人肌よりも温度の低い火で炙られているような感じって判るかい
それがきっといちばんこの感じに
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