はがれた、こえ/祐伸
ろとかが」
「バカにしてるべ」
こいつは随分とよく喋る猫であった
話し掛けても無反応の癖に
畳み掛けても無感動の風情に
僕は微妙な感情を抱いた
今日もまた この小さな王国で 1人だけの想像戦争を起こし
下克上は見事に成功
僕は頭上にありとあらゆる優越感を抱き
この小さな王国が統制する 新たな植民地を創造
しかし
「死んだ人もいないよ」と猫は僕を嘲笑するのであった
だが僕は別に腹は立たなかった
「友達いないの?」
「いるよ。想像っていう友達」
「焼き立ての現像写真みたいな思考だな」
「もし自分が想像したものを具現化する力を持つなら、
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)