The Man From 70's/salco
目する。
「バカだなあお前、そんな目は覆っちまえばいいんだよ」
それでもろくに口も利かない不和を赤ちょうちんで愚痴ると、同僚の
池田が言ってくれた。
「青春なんて今日び屑屋も持って行かねえガラクタよ、穴倉にほかして
置きゃいいのさ」
なるほどね。
野球なんかする年じゃなし、静絵だって今頃は脂っこいかあちゃんなんだ
ろうよ
そこで翌日、薬局で買った眼帯を装着した。
すると片側が天国色の茫漠で模糊っと閉塞され、もう片側で見る女房は
妙に可憐で、にも関わらずすっかり生活に末枯れた女だった。
何だか哀れになって、これからは大事にしてやらないとな、などと
殊勝にもなる。
とつ
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