ゴウセイ/ねなぎ
 
い頃の
トラウマとか
コンプレックスや
成長期のどうとか
性的なアレとか
心の奥底で何かで
例えるとどうとか
何かの本に
書いてあった

そんなことを考えながら
朝早く
起きてしまった
僕は
じっとりと露の湿る
未だ暗く涼しい
かつての通い慣れた
道を歩いていた

移転に伴い
古い校舎が壊されると
聞いて
久方ぶりに
見に来たのは
帰郷しても
何もすることが
無かったからだった

休日と言うこともあり
ましてや
朝が早いので
もう生徒のいない校内は
閑散として
静かなまま
校舎だけが
ビニールのシートと
足場組みに
囲まれて
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