二年間でズタボロになってしまった/真島正人
過ぎ去っていった
丘の上には夕焼け空がくすんでいる
風船が色を失って飛んでいる
時々気球が見えるな
僕が口笛を吹くと
風が少しだけ返事をする
少しのことをたくさんといったり
怖くないことを怖いといったり
脅かしたり
外堀を埋めたりすることで
眩暈がしてくる
それを理解することが一番の「いい方法なんだ」
と父親が言ったが
僕はそれをわかっていても
頷くだけの気力がない
いつも手に入れるべきものを手に入れられず
手にいれなくていいものが僕のほうに飛んでくる
フライパンが欲しいな
うんと大きいやつ
ひっくり返して少し焦がして
投げ返してやりたい
丘の
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)