砂/アンテ
は
ぼくのために
あんなに
自分の時間を
ぼくの分の砂をあげて
そう言ったら
彼女に思いっきりほおを叩かれた
だって という言葉の
先がつづけられない
四人いっしょならなんとかなるかなぁ
だってドアが開いたのよ
二人に言われるまま
砂時計に八つの手を押し当てる
せぇの で力を込めると
円柱全体がかすかに揺れる
もっともっと
だれかが言う
必死に押しつづけると
円柱がゆっくりと動きだして
ゆっくりと傾いて
底が地面から離れた瞬間
ぐるん
とひっくり返った
四人とも勢いあまって転がる
腕を投げ出すと彼女の手に触れた
今までとおんなじ長さだけ
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