砂/アンテ
 
一緒じゃない
気がついた時には手遅れで
それ以来ずっと
なんとなく話す機会がないままだった

くすくす くす

男の子が立ち止まり
女の子も立ち止まり

ヘンだ
なぜぼくに聞こえるんだろう
砂の音や笑い声が

ここは命が死んでまた生まれる場所
男の子が砂時計を見あげる
じゃあぼくはもう死ぬの?
女の子が首を振って彼女を指さす
つないだ彼女の手が冷たい
ウソだ
だれかが言った
いちど落ちた砂は二度と上側にもどらないの
砂時計の巨大な柱に歩み寄る
ガラスにひたいを押しつける
ひんやりと冷たい
彼女の体温とおなじくらい
冷たい

だって
彼女は
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