砂/アンテ
だとわかる
さっきから聞こえていた音の正体だ
くすくす くす
笑い声がして
砂時計の背後から
男の子と女の子がひょっこりと現れる
七歳くらいだろうか
ぐるぐる
二人で砂時計のまわりを回りだす
鬼ごっこをしているように
ぐるぐる
砂時計の砂はほとんど残っていない
ずいぶん前のこと
ひっくり返せばもとどおりだなんて
考え方はおかしい
って彼女は主張した
甘ったれたぼくの考えでは太刀打ちできなかった
会話が成り立たなくなると
彼女は淋しそうに部屋を出ていった
同じ量の砂が同じ時間で落ちる
現象はたしかにおんなじだけれど
砂の順番がちがうから
まるっきり一緒
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