子供たちの世界/真島正人
 
の頃は3回停学になりもうちょっとで退学させられるところだったが、逆に大学にはいると内省的になり本ばかり読んでいた。本ばかり読んでいたが、酒ばかり飲んでいたともいえるのであって、酒に飲まれながら読んでしまう本の内容は何一つ頭に入ってはこない。僕は遅れてやってきた文学青年を自負して、おかげですっかりと痩せ細ってしまった。アドルノも、ブレヒトもいまだに僕には何一つとしてわからない。ただ、それらについて考えるだけで僕の身の毛はよだつようだ。僕は、哲学についてなんら理解できないし、それを理解したいとも鼻から思わず、ただ単に『ヘーゲルを援用して』とか『カントによると』とか言いたいだけだったので、哲学めいた言葉
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