昨日の僕とフランスと/番田
フランスには手に余るほどの著名な画家がいて、彫刻家や、音楽家、詩人も多くいたけれど、フランスの地を強く踏んだところで、彼らに出会えるわけでもなく、彼らの文学作品を、ああと、手にとったとしてもフランス語なのでどうにもこうにも読めないのである。文献にも写真にも見られない、絶対的なものが、どかんとそこには存在するのであって、この日本という島国に住む人間にとっては、なけなしのHISの4月の航空券45000円にはかえられない絶対的な、なにかが存在するはずなのだ。
立っては辺りを見回すと、まだ出国地の時間はまだ夕方ほどだというのに、乗員のほとんどがそこで目を閉じて眠りこけている。日本人の姿はそこにまばら
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