幸福論/山中 烏流
 

駐車場になっていて

もう、そこで
霜柱を踏んで遅刻することも
鬼ごっこすることも無いかと思うと
ほんの少しだけ
寂しくなったりする



***



内緒で開けた、屋上の窓と
そこから
一人で見た夕日

きみを選ぶことで
私は
私だけの世界と、その言葉を捨てたこと

小さな頃と
中くらいの頃と
今の話


ついさっきまで
私の手のひらが、こんなにも
人間らしくあることを
知らなかったものだから

きみや、それら誰かが去ったとき
同じように
私も消えてしまうのだとばかり
思ってしまっていた


雨上がりの遊歩道で

[次のページ]
戻る   Point(10)