幸福論/山中 烏流
駐車場になっていて
もう、そこで
霜柱を踏んで遅刻することも
鬼ごっこすることも無いかと思うと
ほんの少しだけ
寂しくなったりする
***
内緒で開けた、屋上の窓と
そこから
一人で見た夕日
きみを選ぶことで
私は
私だけの世界と、その言葉を捨てたこと
小さな頃と
中くらいの頃と
今の話
ついさっきまで
私の手のひらが、こんなにも
人間らしくあることを
知らなかったものだから
きみや、それら誰かが去ったとき
同じように
私も消えてしまうのだとばかり
思ってしまっていた
雨上がりの遊歩道で
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