幸福論/
山中 烏流
行き先に迷う最中
虹に出会った日
私が知らないときのきみと
それを知る誰かと
それを楽しげに話す、きみの姿
そして
きみや誰かのことで
世界が変わる、私の姿
***
甲州街道沿いの道で
二人乗りの自転車を見た
痛そうに膝をさする女の子と
凄く複雑な顔をして謝る男の子
これにも見覚えがあって
私は、気付かれないように
そっぽを向いて笑う
それでも楽しそうに走り去る二人は
どこまでも純粋で
世界はこんなにも美しい、と
私は
一つ、呟いた
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