悪意の夜/まどろむ海月
 

唇さえも
 黒


暗い部屋
私の上で躍る
シルエット


細やかな
白い肌の
やさしい
翳り


罠を仕掛けたのは君
一度きりの約束
初めてだと知られて
隠した悔し涙まで
 黒


硝子のような爪が
くいこんで
その痛み
 くろ


 偶然に再会した街角
 男をアクセサリーのように引き連れて
 さらに短くなった髪に
 三倍に増えたピアス
 まるで気づきもしないように
 行き過ぎたね
 光るラメ
  黒


  もう何処で再会しても
  決して認めることはない
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