((いちご)のつぶつぶ。)革命/夏嶋 真子
濫せよ。
反乱せよ。
携帯用いちごをにぎりつぶして、自分になすりつけた。
白いブラウスの標高15センチメートルの突出が真っ赤に染まる。
果肉が薬指のつけねにまとわりついて生きものの匂いがする。
ねぇ、目覚めそうだよ、後もう少しで。
いらない、いらない、いらない。
じゅくじゅくでどろどろになったいちごはもう女の子じゃない。
新たなるいちごのテーゼを提示せよ
デルフォイの神託は下った。
煮詰めてジャムにするの、お砂糖をたっぷり。
視覚的な甘ったるさに犯されて
いちごの赤くて甘い熟れた先端はもうどこにも。
赤とそれ以外のいくつか、(たとえば後ろ
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