塩水とピーナツ/真島正人
持ち得なかったな、
傾向も対策も
英作文には関係がなく
恵子の花模様のハンカチのふくらみに
そっと託した唾液のにおいは
誰にも気がつかれることがなく、
母なる恵みよ!
大地から避けて出でる芽よ!
それは本当に答えだろうか?
見渡せば
色あせた背後には
ツツジ、石楠花、ヒナゲシ
閉じ込めたい闇の数は
いっそ数えないほうが良い
午後の圧縮された胆汁、
何ものかと格闘し
昨日、薄い胸に耳を押し当てたとき、
安らかに聴いたのは、
感情の音ではなかった、
空から、ほら。
温かい珈琲が降るよ。
星が出るまでまとう、豊かな、星が出るまで。
感情表現はきらめきのように
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