『あなたへ、』最期の手紙/くろきた
 
た夕食は冷たくて
独りで過ごした休日はあまり楽しくなかったよ。
だけど、俺は知ってたんだよ。
母さんが、俺を一人で養うために汗水流して
必死こいて働いてた事を。
自分は何一つ贅沢をしなかった事も、
風邪を引いて熱が出ても、無理やり仕事に行ったことも、
全部全部、わかってたんだよ。
自分を責めるなよ、こんなに。

思わず手紙を持つ手に力が入り、
手紙がぐしゃぐしゃになっていた。
熱いものが、頬をつたって手紙の上に落ちた。

医者が出てきた。
俺は医者に頷ずき、部屋にはいった。

病室は相変わらず質素だった。
贅沢なものは一切なく、
ただ花瓶に、花が生けられている
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