『あなたへ、』最期の手紙/くろきた
の手紙を渡された。
自分がもう長くないことを悟ったのだろうか、
「もしものことがあったら、これを息子に渡して」と、
涙ながらに看護士に頼んだらしい。
どうやら、もう動かない手をむりやり動かしてかいたらしく、
手紙を開いてみると、大変汚い字だった。
だけど、やっぱり母さんの字だった。
所々、涙の跡もあった。
読み進めていくと、何度も何度も「ごめんね」
と書かれていた。
自分は駄目な母親だと、俺にずっと迷惑をかけていたと、
そういう内容だった。
ばかだよ、母さん。
本当に、ばかだよ。
なんでこんなに自分を責めるんだよ。
母さん。
たしかに、独りで食べた夕
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