頻出度と凡例(アニメ『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』に対する覚書)/真島正人
ような気がする
争いなど起こっていなかったような気がする
すぐ夕暮れになってしまったような気がする
薄い色のベールを従えた夜であるような気もする
いまだ朝にいるような気もする
尺度そのものが問題なのだと、
焼ききれたはずの電話線が
語りかけてくる
電灯を落としたあとの
暗いキッチンで
私のスプーンが悩んでいる
私のスプーンは
「花はどこへ行った?」(ピート・シガーの、あの)
が好きだ
今もそれを鼻歌で
歌おうと努力している
私は、本当は、
あらゆる『防腐措置』について考えているのだ
想像力が逆向いていく
禁じられた尺度について
語ろうとすると
上あごが
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