ノート(わだちうた)/木立 悟
 





左肩を左壁に押しつけて
くたばってしまえ
打ち寄せて来いと
うたいつづけているのだ


左肩の血で壁に絵を
描いているのだ
猫のように餅のように
鳴いているのだ


わたしには茶の薄墨
呑むための呑むための茶の薄墨なのだ
ひらけば花の火
夜に課す線


分かれては在り
5597日間
雨の音は刺す
雨の音は刺す


口々に
口々になおけだものよ
つながりを胸に引きちぎり
腹に結びゆくけだものよ


蒼よ氷よ氷よ蒼よ
冬にひとこと言いたいのなら
冬の底まで降り来るがいい
そのままの痛みを知るがいい


水に折ら
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