ノート(わだちうた)/木立 悟
折られる骨の音ひびき
水のまま水を抜け水底に着き
何も無く何も無くすべて在り
空を空に削りつづける
わたしはわたしを赦さない
だからあなたはあなたで知らない
口も鼻も勝手に話す
だから勝手にうたってもいい
おまえよおまえ
つるりとおまえ
かかと肛門 はざまはざま
受けては応え 闇は染み入る
崩波 崩波
幽霊の地図
おまえが空けた
右側の熱
水底に積もるものを見ている
音をたてる
光とけるたび
音をたてる
千年の洞が
千年の洞を欠くときの
岩の音を聴くがいい
名の無いものの目を射るがいい
そんなにも花がほしいのか
空をつらぬく火が見えないか
雪をかきあつめかきあつめ
鳥の居場所がないほどに積み
崩れても穢れても
通り 歩むものはある
少しだけ腹を夜へ持ち上げ
未だ来ぬものへ未だ来ぬものを晒しつづける
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