労働/攝津正
ー……デス見沢は、男のヒステリーは軍隊にでも叩き込むしかない、と言っていたがそうなのか。攝津は、自分がヒステリー患者だと知っていた。診断は社会不安障害だったが。ともあれ、苦しいのは確かで、この苦しみより出発するより他無い。
ほとんど七転八倒するような苦しさのこの苦しみは、精神的な物だったから、何を施そうと治らないし治りようが無いし、只寝る位しか対応方法が無かった。家族も攝津が症状を訴えるのに「仮病」「甘え病」などと罵った。実際、甘え病であったろう。だが真実に病気であったのであり、苦しかったのである。この事実は如何ともし難い。精神科も攝津を持て余している風であった。どの薬を投与しても治らない。面
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)