労働/攝津正
 
を感じていたが、世の中そんなもんだろうとも思っていた。
 某派遣会社で日雇い派遣して労災骨折したり、そういうなんかやらかしてしまう自分のほうが人気は出る。平凡に暮らしている自分は支持、共感されない。それもやむを得ぬ事だと攝津は考えた。労働では、賃金を支払って貰っているのだから、それで満足せねばならぬ。名誉の為に労働しているのではない、金銭の為に労働しているのである。だから、それ以上の物を求めるのはお門違いという物であろう。
 攝津の人生はもう終っているようにも感じられた。もっと上を目指さねば、とも時に思ったが、「上」って何処にあるのよ?と攝津は自分自身に反問した。もっと上、事務職で正社員になっ
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