労働/攝津正
時間はあっという間に過ぎていった。まさに光陰矢のごとしである。grass rootsを創ったのは二千七年の事だったのか。もう三年も前か。攝津は或る感慨に囚われた。
働いていると、日々が猛烈な速度で過ぎて行く。働き、働き、働き、労働に追われ、それだけで一日が終ってしまう。勿論その事に不満はある。だが、どうしようもない。攝津の状況では働かずに生きて行く事は不可能に近かった。生活保護も障害年金も駄目だし、どうしようもなかったのである。
攝津は、無職で「惰民で悪いか?」のような文章を書いていた頃のほうが一部の人々から高い評価を受け、地道に黙々と働くようになって逆に評価が下がった事に皮肉を感
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