労働/攝津正
を他人に分かち与える為の物である。攝津独りの快楽でなく、複数の者らが楽しめる場を作る事。攝津がインターネットに期待するのはそれだ。 相変わらず攝津にとって生きるのは辛く苦しい難しい事だった。だが芸術が、そんな生を少しだけ明るく照らした。書いている時、弾いている時、ラジオをやっている時、攝津は時々「生きている心地」がした。そしてそれだけで十分だと思えた。それ以上を要求するのは僭越であると。
ハイチの大地震の悲惨な報道を見て攝津は、これだけ毎日生きるのが苦しい、死にたいなどと言っていながら、実際死なねばならぬ状況に追い込まれたら醜態を晒すのではないかと恐れた。正直に言えば、やはり死ぬのは怖いのでは
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