労働/攝津正
 
だ、というのが攝津の頭に浮かぶ決まり文句だった。実際、不可能事を望んだところで仕方あるまい。例えば、男なのに子供を産みたいと思っても無理である。だが、インターネットラジオ放送をしたり、ブログやメールを書く事なら幾らでも出来るし、すべきだ。働けるだけ働き、疲れたら休み、そして音楽を楽しみ、自らも放送する、それでいいのだ。生活の余白で読み、書く。それでいいのだ。プロの物書きになれずとも、プロの音楽家になれずとも、アマチュアでいい。日曜音楽家、日曜作家でいい。攝津は謙遜ではなく本気でそう思っていた。
 攝津にとって書く事や弾く事は楽しみである。そして、楽しみでなければならぬ。ブログやラジオは、快楽を他
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