労働/攝津正
る=遊離していると共に、精神的に自由であるような存在。柄谷行人は、サラリーマンにそれの実現を見たのだ。労働奴隷と言われていたような存在は、柄谷行人によれば、「ルンペン・プロレタリアート」であった。そしてルンペン・プロレタリアートではなくプロレタリアート中心の社会運動を創出しなければならぬと彼は考え、NAMを立ち上げたのだった。しかし社会の現実は孤独な思想家の営為を無限に超えていくものである。日本社会で生じた深い変容は、確かにホワイトカラーの一部を「知識(知的)労働者」にしたが、多くの者を「フリーター」にした。つまり、ジョブ型の働き方で、ブルーカラーで低賃金で単純労働・肉体労働するしかないような存在
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)