詩が沈黙する時/岡部淳太郎
 
帰りの人々が夕焼けが広がり多くの星が瞬く空を見上げようとしないように、自然がどんなに美しい姿を見せようとそれに気づかない人が多いのと同じく、詩はそこにありながら気づかれていない。詩の沈黙とは気づかれていないからこその沈黙であり、それに気づかない人々が自らの中で詩を沈黙させているのだと言い換えることも出来るかもしれない。しかしながら、詩に親しんでいない者が詩を沈黙させ「反詩」の片棒を担いでいる(本人は意識していなくても)ことは事実であり、そういう人たちに詩を押しつけても無益であるだろうことも、おそらく事実だ。ここでまたぞろわかりやすい詩を提示すれば事態は好転するだろうというお目出度い考えがわき上がっ
[次のページ]
戻る   Point(5)