錆びた時間の牙/ホロウ・シカエルボク
夜中だったからと言ってしまえばそれだけのことだったのかもしれない、だけど壁の上から見るその家の中はあまりにも陰鬱で…どうしてカーテンすら引いていないのだ?まったく理解が出来なかった
足音はまだ近づいてきていた、俺は壁の上を歩いて家の裏側に回った、敷地の一番奥の部屋には大きな窓があったけれど、その窓はテレビやらなんやらで完全に潰されていた、「その窓は完全に塞いでおかないといかんのですよ」その家の住人らしきくたびれた中年の男が壁の下で俺を見上げて呟いた
俺は壁を降りて彼と対峙した「なぜ潰しておかなければならないのだ?」「あいつがやってくるからです」「あいつとは?」「あなた、見たんでしょう、追わ
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