はなび/木屋 亞万
 

夜中に交差点で女を車に乗せてから、男は夜通し運転を続けていたために、かなり眠かった
我慢しきれなくなった衝動を胸に、女に強引に覆いかぶさった
シートベルトを外し、女にキスしようとしたときに
外へ出ましょう、と女が言った
男も何となく外に出なければならないような気分になった
この状況で外に出ないでどうしろと言うのだとさえ思った
外に出ると辺りはとてもよく冷えていて
車のライトを消してからは、何も見えないくらいに真っ暗だった
波の音だけが絶え間なく響いている

花火、と女は言った
花火は持ってないがジッポーの火ならある、と男はポケットを探った
ライターの火を頼りに二人はコ
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