はなび/木屋 亞万
 
ないけれど、と言いながら服を差し出し、
警察には連絡した方がいいのかしら、と媚びるように小声で尋ねた
女は両手でしっかりと服を受け取ると深々とお辞儀をして、その家を後にした
彼女が歩くたびに揺れる彼女のお尻の肉を
主婦は玄関先でただひたすらに眺めていた

女は服を持って歩道橋をもう一度渡った
そして交差点で信号待ちをしている車に近づいていった
女が窓をノックするだけで、彼女はヒッチハイクを成功させた
運転手が性衝動に頭を侵されていたからだ
運転手の男は自分の息が荒くなり、鼓動が強く早くなっているのがわかった
スピードを出して、と女が言った
男はその声に導かれるように
裸の
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