はなび/木屋 亞万
見ていた
ホームセンターに行けば売っているかもしれません、と店員は言った
しかし彼女は閉店時間を過ぎたホームセンターには行かず、
コンビニの近くにある民家の前で立ち止まり、インターホンを鳴らした
はい、というスピーカー越しの主婦の声に
ちょっとお借りしたいものがあるのですが、と彼女は丁寧な口調で話した
インターホンにはカメラが付いていなかったので、
何も知らずに家から出てきた主婦は
裸の女を見るなり悲鳴をあげて、すぐに家の中に戻ってしまった
家の中から慌しい足音が引っ切り無しに聞こえて、
主婦はいくつかの服をその手に持って玄関から再び顔を出した
サイズが合うかはわからない
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