はなび/木屋 亞万
は標識の柱のように白くてツヤがある
寒さに身を縮こまらせることなく、身体を震わせることもない
彼女はそのまま歩道橋を上っていった
階段を降りるときに揺れる乳房を
犬を散歩中の通りすがりの老人はおもしろいくらい凝視している
裸の女王様だの、と犬に話しかけると老人は道路の向こう側へ消えてしまった
女は歩道橋脇のセブンイレブンに入った
そしてレジに立ち尽くす店員に尻を向け、陳列台を物色し始めた
レジ正面の三つの棚を軽く探した後、店員に花火は置いていないのか、と尋ねた
アレは夏しか置いていないんです、と店員は答えた
店員は視線を下に逸らすフリをして彼女の陰部をちらりちらりと見て
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