金木犀の香る頃/鵜飼千代子
 
れ伝える為に

あの日も今日も 
変わりのない気持ち
伝える為に
 
やっと来た電話、

「金木犀が咲いたね」

「うん、すっごくいい匂い
 でも銀杏がクサイ
 銀杏を拾って バケツに入れてね
 水に漬けてあるから 窓を開けると
 変な臭い」
            
変わらないあなたがいて
苦笑いしながら
手のひらに 金の星をあけてみる

ねえ 
伸びていこうね

あなたが変わりなくあなたである限り
どこにいても 僕は味方だ

腐るなよ 僻むなよ 妬むなよ
みんなばっかりすごく見えるだなんて
泣いてくれるなよ         
     
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