金木犀の香る頃/鵜飼千代子
いつも元気で無邪気で
わかんなぁい が口癖のあなた
あなたさえいれば
この情報化社会の先端で
行き詰まったとしても
絡まった糸玉を
ほぐしてやれる気がしていたのだ
先いそいだ僕が
あなたの何かを確実に壊し
変わりなく無邪気なあなたは
もう僕を信じない
今年も
金木犀が香ってきたよ
いまも季節を感じていますか
秋の高い空にひとみ投げる
あなたが
いま ここに
いるようで
1997.09.03.
改稿 1998.08.13. 2002.01.14
改訂 2002.10.27
初出 NIFTY SERVE FCVERSE
詩集 ブルーウォーター 所収
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