緑に覆われた世界を垣間見た。/影山影司
 
腕を振るい、自分だけがこの場に溶け込めていないような空気を感じた。やがて店主が丼に入れた料理と、細長いグラスに入った琥珀色のガスアルコールを持ってくる。グラスの表面には細かい水滴が付いていて、店主が握った所だけ涙のように連なった水滴が垂れ落ちた。
 箸で掻き混ぜるようにして麺をすくい、熱々の汁ごと啜るように口に放り込む。大量の麺を、二三噛んでぐいっと飲み込む。口、舌、喉、胃袋に擦れながら熱気が伝わる。そこにしこたま冷えたアルコールを注ぐ。一口、一口、一口、三口一気に飲むと、うまさがグッと増す。

 飯を食い終わると、店主が黙って皿を下げた。どうにもさっさと済ませて、朝日が昇る前に帰って寝ちま
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