緑に覆われた世界を垣間見た。/影山影司
 
とを思い出す。
 周囲に住める家は無く、彼はおそらく船を持っていない。訪れる客にすがっては酒を飲み、時折誰かの船に乗せてもらってはあの辺りをふらふらしているのだろう。
 二日後、似たような休憩所へ辿り着き、そこの店主と話をした。
 ここらの植物の成長は、一定では無いんだと彼が語った。
 ちっとも伸びない時も、一月で山を越すほど成長するときもある。さらに渦を巻く弦樹は踏み込んだ人間の足を絡めとり、時には落とし穴のように人を飲み込む。探索用の重装備では逆に荷物が枷になって死ぬ人間も多いのだ。
 今でこそ地図屋の方法論、道具、技術が発達して安全になったが、昔は酷いものだったと。何も知らない新米
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