緑に覆われた世界を垣間見た。/影山影司
 
指をもぞもぞと動かして、フックを外す。丁度立てかけられた寝袋を割って出るように立ち上がった。保温されていた体が外気に触れ、思わず意味の無い声が漏れる。同僚達の足を踏んづけないよう、揺れる床を抜き足差し足、幌を捲る。

 港、と呼ぶには寂れた場所だ。プラーンコーンの茎で組まれた足場に、似たような船が数隻留まっている。辺りは密集林で、空を見上げてもろくすっぽ空も見えない、百メートル以上上空でたわんだ大葉が星も月も隠しているのだ。
 足場に飛び移ると、「あんだァ寝てねェのか」と声を掛けられた。班長だ。「薬ィちゃんと飲ンだか? ァ、薬嫌い? 何処ぞに売払われっと思ってっか? 安心せェ、一週間後にァち
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