アスラエル/チアーヌ
だ。
咲いていたのは、白いユリの花だった。
「きれいですね」
「あはは。ゲームですけどね」
俺は久しぶりに笑った。
どうしてだろう。不思議で仕方がなかった。
どうして苦しく無いんだろう。笑うことができるんだろう。
そうこうしているうちに、彼女は俺の腕についていた点滴の針も、
「このほうがすっきりするでしょ」
などと言いながらすべて外してしまった。
そして言った。
「そろそろ、いいかしら。ちょっと、苦しいかもしれないけれど」
彼女がにっこりしてそう言った途端、いきなり激しい発作が起った。
発作というか、息が全く吸えなくなったのだ。
急に俺の回りから、空
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